ドイツかぶれの徒然

英語が嫌いで気づいたらこうなっていた。思い出したように更新するただの生存報告になりつつある

ドイツの鉄道信号について(2)

 

2-1. 入換標識と車両停止標識

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写真はまたしてもコブレンツです。いちおう展示スペースから撮影してますが、完全に現役線とつながっている……

前回目立っていた「W」形の標識と黒い四角に円盤の入った信号?が写っています。別にしゃがんで撮っているわけではないので、かなり高いところに設置されているのが解ります。

どちらも入換作業で使われる標識で、W形のほうは車両停止標識Wartezeichenで、四角い方は機械式の入換標識Schutzsignal(Sperrsignal? どっちが正式なのかな)です。この二者はTFのMODでも一揃いで出ていますね。車両停止標識のほうは見たまま停止位置を表示しているだけなので、入換標識について主に見ていきます。

入換信号機と入換標識の日本での違いはぐぐるなりうぃきるなりしてもらうとして、入換信号機と訳さなかったのにはそのもの入換信号機Rangiersignalというものが別に存在したためです。

色灯式のものも併せて現示を見ていきましょう。

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停止・進入禁止

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停止

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進入禁止相殺

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入換走行を許可

 (ドイツ語版Wikipediaより転載)

両者で少し意味合いが異なります。恐らく機械式のほうは現場の担当者がすぐに現示を切り替えられるのに対して、色灯式のほうは遠隔操作されるからとかそういう理由だと思います。何れにせよ、進行せよという指示ではありません。そこが入換信号機ではないとする根拠でもあります。

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こちらはニュルンベルクで展示されている信号たち。一番左端が色灯式の入換標識の小人信号Zwergsignalです。

左から二番目はSバーンで用いられるSv信号、真ん中のものがH/V信号の色灯式信号機、その右は不明(追記:どうやらバイエルン時代の信号機です)、その手前は前回解説した機械式前置信号機で、一番右は主信号機それも三腕のものです。

2-2. 代用信号

写真の真ん中の色灯式信号機には一つの柱にいろいろついています。一番上の四角い背板に四つの灯火がついているのが主信号機、下の菱型っぽい八角形に四つの灯火がついているのが前置信号機です。そして真ん中は、事故の記事でも登場した代用信号Ersatzsignalです。

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(ドイツ語版Wikipediaより転載)

手信号代用機と同じようなものと紹介しましたが、本当に一緒といえるかはよくわかっていません。意味は主信号が停止信号を現示しているか、故障して何も表示していない場合にこの信号がついていれば通過できるということなので、使い方は手信号代用機と同じだと思っています。

色灯式のものしかないのも、多分機械式の時代には駅員が直接手信号を出していたからだと思います。なお現在は腕木式信号機に対してもこの代用信号だけ色灯式のものをつけているという例も多いようです。

2-3. 速度指示器

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ニュルンベルクの信号機たちその二。手前はH/V色灯式信号機の主信号に入換標識が一体化したもの、二番目は東ドイツで制定されたHl信号、奥は統一後の幹線で広まっているKs信号……だと思います。真っ黒でよく見えないけど。

H/Vの上には四角い箱状のものが乗っていて、Ksの上には三角形の板に「3」と書いてあります。これが速度指示器Geschwindigkeitsanzeigerです。

器って言っても板のほうはただの制限速度標識と変わらないんですが、箱状のものはLEDの灯列で数字が表示されます。こういうのも灯列式信号っていうんですかね?

数字はkm/hの10分の一で、3なら30km/hを意味します。20とか表示されることもあります。もしこれが先の線路状況の色んな要素を含めて表示されるなら完全にスピードシグナルなのですが、H/V信号との組み合わせの時は分岐器の速度制限を表示しているだけなので結局進路によって表示が変わる速度制限標識です。

前置信号機とともに設置される速度指示予告器Geschwindigkeitsvoranzeigerもあり、板のものは白い部分が黄色くなり形状も下向きの三角形に、灯列式のものはLEDが黄色になっています。これは色灯式信号機に対しては前置信号機の下に取り付けられます。機械式信号機に対しては速度指示器も予告器も信号機の下につくようです。というか上にはつけられないよね。

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キールからハンブルクに戻る間に車窓から撮ったもので、H/V信号の色灯式「コンパクト」信号機です。一番上に速度指示器が乗っています。

 

これでH/V信号機と一体化して設置されている信号や標識は一通り説明できたかと思います。次回は主信号機の年代別の種類(とはいえ写真でだいたい登場しましたが)と、現示の見方を説明したいと思います。