ドイツかぶれの徒然

英語が嫌いで気づいたらこうなっていた。思い出したように更新するただの生存報告になりつつある

デンジャー・クロース見てきました。

ご無沙汰しすぎました。世間はコロナ騒ぎではありましたが、仕事に一切差し支えることもなく、というかむしろ日常的三密環境で過ごしておりました。そしてしばらくぶりに見に行った映画が表題の作品です。

ベトナム戦争にオーストラリア軍が参戦していたことすら地味なのに、日本ではほとんど情報が見つからない局地戦が題材の物語。イケメンなし美女なし、人間離れした派手なアクションなし、思想的な強いメッセージ性もなし、ストーリーも実に王道で捻りなし、そんなこの映画の素晴らしいところは、圧倒的な戦場のリアリティです。

とにかく砲兵のお仕事の描写が細かい。序盤から対砲兵射撃の様子が描かれ、観測者が方位角を伝え、歩兵部隊からグリッド座標で砲兵へ伝達、砲兵は射方位と射角に変換するという射撃の手順が細かく描写されます。

歩兵部隊の野戦での行動も今まで見たことがないようなキレのよいものでした。傘型陣形から菱形陣形へ、そして銃声とともに「Contact left!」と一列横隊へ転換。このような操典通りの陣形転換は映画では初めて見たと思います。

他にもオーストラリア軍もまたイギリス軍の系譜だと感じるなんともジェントルなハンドサインや、実話に基づくからこその妙な小道具の多い基地内やら、ミリタリーな見どころたっぷりなこの映画。こういうのは戦争映画という玉石混交なジャンルのなかでも、リエナクトメント映画とでも称すべきなんではないでしょうか。

登場する銃の種類は妙に多く、オーウェン・マシンカービン - Wikipedia という珍しい短機関銃も登場。一つの小隊で7.62mm弾、5.56mm弾、パラベラム弾、あと多分散弾銃も持っていたように見えたので4種類の弾薬があるって、補給混乱するだろと思ったらちゃんとその描写もありました。これがフィクションならリアリティがないと叩かれていそうなところ。事実は小説よりグダグダなり。

とはいえ、基本的にオーストラリア退役軍人による俺たちバンザイな映画であるゆえに、ちと一般人を置いてけぼりにし過ぎな描写は多かったかな。翻訳もひどいもので、英語だから聞いてて字幕がむちゃくちゃなのがわかってしまう。ほんとはカッコつけたセリフなんてほとんどないんですけど、ヒーロー物っぽく訳すのやめてください・・・

けど、去年のアンノウン・ソルジャーといい、基本国内むけに作られる自軍バンザイな戦争映画が見れるというだけありがたいのかも。さもなければ、世界中の人が平和を望んでいるなんて言う誤解がまかり通ってしまいますからね。