ドイツかぶれの徒然

英語が嫌いで気づいたらこうなっていた。思い出したように更新するただの生存報告になりつつある

ドイツ連邦鉄道の操車場動画

今回はちょっと動画紹介

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Lehrfilmということなので、職員の教習用映画といったものなのでしょうか。しかしお仕事紹介的なドキュメンタリーチックな作りで、見ていて興味深いです。

前半(Teil I)はAblaufbetriebということで、ハンプヤードにおける操車のお仕事を、後半(Teil II)はStossbetrieb、つまり平面操車場における突放のやり方を見せてくれます。

日本とは連結器の形式が違うので、ネジ式連結器のヒヤヒヤする連結作業シーンが連発します。しかし日本で一般的であった飛び乗りはやらずにヘムシューを多用しているので、どちらが危険だったのでしょう。

ヘムシューって意外とすぐ止まるんですね。連結に速度が必要な自動連結器を使っている日本ではあまり広まらなかったわけです。ヘムシューを自動で取り外して回収するからくりもあったりして面白い。

操車に必要なメモを貨車にチョークで書いて回るのも、豪雨に見舞われることが少ないドイツならではでしょう。てかたまに豪雨豪雪にやられたらどうしてたんだろう。

この映画はいつごろ作られたものなのでしょうか。E 40が出てくるので1957年以降ではあるでしょうが、ハンプの貨車のなかにDR Brit-US-Zonenと書かれたものがあったり。また制動手小屋のついた貨車も見受けられたりで、意外とこういうものは後年でも残っていたのだなということもわかります。

しかし、操車って人手のかかる仕事だな…

オーストリア西部鉄道が中国製車両を発注!?

ミニ更新な上にひと月前の旧聞ですが、今更気づいて驚いたもので。

kurier.at

Westbahnというのはウィーンから西に伸びるÖBBの路線自体のことも同じ名前なのですが、こちらは同線で運行している私鉄の話。保有するKISS全編成を売却し、代替として中国製の2階建て高速車両を発注しているとのこと。

赤字額が問題となっていたタイミングだったようなので、資金繰りの一環として取られる手段なのでしょうが、もちろん中国製車両の欧州進出は既存車両メーカーには脅威です。一方経営に苦しむ私鉄各社にとっては救世主となりえる可能性も……

中国製というと安全性が気になってしまうところですが、むしろ欧州のいろいろ厳しい検査基準を中国製車両が切り抜けられるのかという方が正しいかも。安物買いで失敗した事例としてはFyraのことが頭をよぎりますが、同様にグダグダ展開となったらWestbahnの存続が危うくなりそうです。

あとは日立に強力なライバル現るということで、日本にも飛び火してきそう。JR東日本気動車を国際入札してましたが、これからは中国メーカーが応札してくるようなこともありえるのでしょうか……怖い怖い。

ドイツ鉄道の新型優等用車両「ECx」

プチ更新です

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最高速度は230km/hでタルゴ客車を機関車で牽引。

ここが割と詳しめかな。ベルリンーアムステルダム間のほか国内列車でも投入される様子。

https://railcolornews.com/2019/03/13/de-deutsche-bahn-presents-the-ecx-by-talgo-in-berlin/

以前の記事でIC2について「160kmhしか出なくて線路の持ち腐れだし、乗降に時間がかかって大荷物が収納できない2階建ては優等にやっぱり不向きだろ」みたいなことを書きましたが、やはりその弱点に対応してきた感じです。

また軌間可変バージョンでロシア方面に走らせることも考えてるのかってのも気になりますね。

今日からちょっと海外に行ってきます(ドイツ語圏ではありません)。

ドイツの貨車たち その1

暫くご無沙汰してましたが、だらだら写真を貼っていくシリーズ第三段は貨車です。

ネットで色々と貨物列車について調べていて、実見しにいくのが今春のドイツ行きの目的の一つだったのですが、ほんと普段撮ってないと写真が下手すぎて……元写真部が聞いて呆れる状態に。お目汚し、大変失礼いたします。

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ハンブルクのAlter Elbtunnelを市街の対岸へ渡り、2kmほど工業地帯を歩いていくとたどり着くのがHafenbanhof Hamburg-Südという操車場。そこにSBB Cargoの機関車が引いてきたコンテナ貨物列車が停車していました。

スイスから700kmも離れているドイツの北端ですが、電気機関車は広域運用となっているんですね。スイスとドイツでは電化方式は同じなのですがパンタグラフの規格が異なり、この機関車はパンタグラフを4つも装備しています。

コンテナ車の構造も注目してください。40ftコンテナを積んだ車体二つが連接台車で繋がった構造です。こうすることによってコンテナ二つに対して3つの台車で済むというわけでしょう。

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 同じ編成の後ろの方は、20ftコンテナ三つ積みのボギー車と40ftコンテナ一つ積みの二軸車です。コンテナ=高速というイメージですがまだ二軸もあるんですね。それもどうやら冷凍コンテナの様子。

ここは入換をしている編成もありましたが、ハンプはあるものの機能停止していて平面入換と同じように機関車が最後までブレーキをかけており、突放も行っていない様子。安全面を考えるとこうなるのでしょう。

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主なコンテナ車の形態としてはもう一つ。場所は飛んで南ドイツのウルム駅。40ftコンテナを二つ積める貨車で、全長は26m近くになっています。そのため運行区間は限定されているようで、いろんな動画を見た限り基本的にこの種類の貨車だけで組成された編成で走っているようです。いかにも合理的なので、今後は広まっていくんではないでしょうか。

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欧州らしいのが、このピギーバック輸送。この貨車はトレーラーをトップリフターみたいなやつリーチスタッカーでまるごと持ち上げて積むTaschenwagenと言うやつで、他にも低床式の貨車にトラックが自走して乗るやり方もあります。

コンテナと比べると今ひとつ効率的には見えないのですが、車でのアルプス越えは大変なので主にその方面で盛んな様子。

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コンテナ車と並んで、有蓋貨車もまだまだ現役です。Schiebewandwagenと呼ばれるパレット輸送用の貨車Hbbillnsで、日本のワムと比べると屋根も少し開くようになっています。

撮影地はスイスのLimmattal操車場で、2時間近く待って一本だけハンプ作業を見ることができました。貨車が通るとダウティ・ユニットがテケテケテケテケと音を立てて音楽のような響きです。

バスでIkeaまで行き、イケアの裏手を線路沿いに歩いていけば仕分線を眺めることができます。ハンプは残念ながらよく見えません。跨線橋から撮った映像がYoutubeにはあるのですが、実際は歩道が片側にしかなくハンプの方を眺めるのは危険です。着発線のほうは跨線橋から眺められます。

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こちら有蓋貨車に似ているのですが、実際は幌がかかっているだけの無蓋車Rilnsです。ボギーであることからも鉄鋼製品など比較的重いものを運ぶ役割なのでしょう。

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これも有蓋貨車に見えてTbisという開閉屋根貨車というジャンルの貨車。湿気を嫌う貨物のために作られたようですが、別に屋根がぜんぶ開く必要はなかったので廃れたようです。

ということで、現役の屋根付き貨車をまとめてみました。今後無蓋とか古い貨車とか特殊貨車とかも載せてみたいですね。

ナイトジェットの車両

写真をダラダラ載せるシリーズ第二段は、オーストリア国鉄ÖBBの夜行列車nightjetです。どうやら、全て小文字なのが正式っぽい。

自分が乗った時は両手に荷物が一杯だったので、これはチューリッヒ中央駅で散歩がてら列車を眺めていたときの撮影です。

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到着後、牽引機が切り離された列車。暫く前までは混色編成が楽しめたらしいのですが、今はほとんど濃紺の塗装に塗り替えられたnightjet。でもスイス国鉄の普通車がついていて結局塗装統一は無理な感じ。

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こちらはナイトジェット塗装の座席車でÖBBのEC客車のようです。Modularwagenってやつかな?

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WLABmz 61という二階建て寝台車の通路側。豪華個室のあるものとないものがあるらしいです。この車両が走っているのはウィーンかベルリンからくる系統らしいので、行き先票を拡大してみたらどうやらベルリン東駅から来た列車のよう。

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フランス語でCouchetteまたはドイツ語でLiegewagenと呼ばれる寝台車。日本のB寝台相当です。 まだドイツ籍のままのBvcmbz 61 で車体形状はm-Wagenの色合いが濃く、台車は板バネが二段のMD 52台車を履いています。DB向けに1962年から製造されたものを2001年から高速化改造したものです(5/21訂正)。

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こちらもCouchette/Liegewagenですがオーストリア籍のBcmz 61で、車体形状はEurofima車以後の特徴を持っているのに台車はミンデンドイツ式という、前掲の車両と正反対の特徴を持っています。

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さらに前にはÖBBの通常客車がついているので、結局三塗装混色編成になっていました。

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もう一つ別の列車を。クロアチアザグレブから来た便らしく、牽引機はSwiss-Express塗装です。

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クロアチアの客車は調べてもよくわからないんですが、珍しい形の台車にスカートつきと特徴的な外観の座席車Bee。

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こっちはかなりドイツのと同じな感じの寝台車Bcl。

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スカート付きだけど台車はS型ミンデンの個室寝台車WLee。

クロアチアの車両はいずれも最高速度160km/hです。山がちな路線が多そうな南東欧ではそれでも宝の持ち腐れなのかもしれませんが、やはりあまり高速化が進んでいないところのほうが夜行列車の需要は高いのかと思いました。

nightjet、かように色んな出自の車両が雑然と繋がっていて、系統自体も分割併合があったり牽引機のバリエーションも豊富だったりで眺めているだけでも楽しい列車です。

インターシティの客車

いろいろ写真を撮ってきたので何回か続けてまとめたいと思います。

今回はIC1と呼ばれることも増えてきた、従来型のIntercity-Wagenたちについて。

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前回紹介したレア車というのはこの写真…の二両目。なんで形式写真撮ってないんだ俺!

先頭車はBimmdzf287旧東ドイツの「UIC-Z型」客車をIR用に改造した車両をIC用に格上げしたもの。IC用として改造されたBpmmbdzf286とともに多くのインターシティの先頭または最後尾に連結されています。

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そして二両目はこのBpwmz125。車内の写真は前回紹介しましたが、1+2座席でピッチも広く、とても二等車とは思えません。

この車両は1962年から65年にかけてF-ZugおよびTEE用に製造された「ラインゴルト型Rheingold-Wagen」客車で、元一等車が今は格下げされたものです。

他の車両より狭い窓が並んでいるのが特徴的です。流石に古いので、先は長くないものと思われます。

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こちらはAvmz109。ラインゴルト型に引き続いて1965年から1975年にかけて製造されたTEE用客車、「ヘルベチアBauart Helvetia」。ラインゴルトともども、最初に投入された列車名が系列名になっています。

TEEは一等車と食堂車のみで構成された豪華国際列車で、ドイツ国鉄の受け持ち列車のうち客車はこの二種類で構成されていました。その後、国内列車としてIntercityが1971年に運行開始したときも一等のみでした。

割とたくさん作られたので、今でもICの一等車で多く見かけられます。

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1976年から一部、79年には全てのIntercityは二等車を連結し、パターンダイヤとともに現在に繋がる姿となりました。

その時に連結された二等車が標準的な長距離客車だった「UIC-X型」別名「m-wagen」で、電磁吸着ブレーキを装着して最高速度200km/hで運転できるよう改造されました。

その後IC用からは撤退し、IR用に改造され、そしてまたICに返り咲いたのが写真の車両、Bimz256。冷房はついていないらしいです。

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二等車のm-wagenは珍しいようですが、ビュッフェ車であるBoardbistroは全てm-wagenです。ARkimbz266と改装されたARkimmbz288があるのですが、外観からの見分けはつかない……この後すぐ発車してしまったので、車番も撮影していません。

m-wagenとTEE客車は日本でもかなり導入されたミンデンドイツ式(実はMinden-Deutzであって国名とは関係ないのです)台車を履いています。

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現在主力となっているのは、この系列。「Nachfolgeserie der Eurofima-Wagen」と呼ばれているようですが、どう呼んだものか。写真はBpmz294で全て開放客室ですが、一部コンパートメントとしたBvmzという車両もあります。

1979年から製造されたこの系列は、Eurocity用に各国共同で導入したEurofima客車に引き続いて製造されたもので、冷房完備でプラグドア装備なのはEurofima客車と同じなのですが、台車が日本のS型ミンデンに近い軸バネ構成になっています。

ミュンヘンで撮影したこの列車のように、一等車はヘルベチア型、ビュッフェ車はm-Wagenの改造車、制御車はUIC-Zの改造車でほかはこのEurofima後継型というのが、もっとも一般的なICの編成じゃないかと思います。

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車中からのヘボ写真ですが、Eurofima型を。ドイツには珍しい板バネを使わない台車が特徴的です。というか、素直にこの型を量産しなかったのは、この台車が気に入らなかったからじゃないんだろうか?f:id:kariya-kito:20180515232947j:plain

そして、IC2の写真ありました。考えてみると前回書いた不満の大半って扉配置に起因するので、中間車もこの先頭車みたいに低床部分に扉を置けばいいだけじゃないのかなと思ったり。一部の普通用二階建てもそうなってるんだし。

スイスのIC2000は低床部分に出入り口があり、背もたれの裏側に荷物も置けて、さらに貫通路が二階にあって移動はスムーズ、そして200km/h運転もできるとIC2にないものを全部持っている感じなのですが、車両限界をオーバーしてるのと、多分お高いんだろうなぁ。

今後は現行の平屋建てICは引退してこの車両やICEに置き換えていくことがアナウンスされているわけですが、やはり200km/h発揮できる路線にわざわざ160km/h運転しかできないIC2を投入するのは不自然に思われるので、ICE網の拡大となるのかさらなる新型IC客車を用意するのか、何かありそうだと思うのですが、どうでしょうね。

ドイツの鉄道雑感

帰国前に荷物詰めるのもう少し手間取るかと思ったけど意外とすんなり終わったのでBECK'S飲みながら、車中で書いた乱文を校正もせず投げます。まぁ、旅行中に考えていた偽らざる感想というやつです。


・IC2についてf:id:kariya-kito:20180510041838j:plain

(なんと、これだけしか写真がない! 「いつでも撮れるや」って油断は怖いね)
 鳴り物入りで登場した二階建て客車の新型InterCityだが、どうも大荷物を抱えて移動するドイツ人の旅行スタイルに合致していないように思う。乗降には車外から車内へのステップのほか、車内で階段を通過する必要があるわけで大変時間がかかり、年配者などはとてもしんどそうにしている。さらに通常の平屋建て車では機内持ち込みサイズのキャリーバッグまでは荷棚に乗せることができるのだが、IC2ではできない。従って車両前後の荷物入れはすぐ一杯になる。実は車内中央部にもあるのだが、気づかない客が諦めてデッキに滞留する。そして更に乗降に時間がかかる悪循環。お陰でオルデンブルクで接続列車に逃げられた。しかも最初の乗車時、トイレが壊れて悲劇的な悪臭が車内に立ち込めていた……

 ということで、個人的には大変悪評価となってしまったこの新型。乗客が慣れるにつれて解決されていくのか、今後の注目していきたい。てか、こいつの増備はやめてほしい。せめて200km/h出る路線にはそれ相応の車両を入れてほしい……

・ナイトジェット

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(実は乗車した列車ではない。お気づきだろうか? D-ÖBBなのだ!)
 三段の個室寝台を一人で使いました。ホテル代を思えば高くはない、と思います。各室に洗面台があり、使わなかったけど車両当たり一つ? シャワーもありますし。
 ただ、客車自体は割りとボロボロでした。けど、時代遅れのまま打ち捨てられていた末期の日本の寝台列車と異なり、ソフト面のサービスでなんとかその埋め合わせをしようとしている感があり、とても整ったアメニティが提供されていました。何よりサービスがあのワゴン・リ社なんですよ! その点文句の出ようはずもありません。
 朝食は20種類くらいのメニューから6点選ぶ形。追加料金を払えば更に多くもできますし、また夕食や夜食、酒類も注文すれば持ってきてくれます(正直、ここまで充実してると思わなかったから生協で食べ物を買い込んでしまった。ので、頼むことはなかった)。
 乗り心地はというとヨーロッパのネジ式連結器なので前後衝動はなく、停車発車はもちろん機関車の付替えもわからないほど。ただ、夜行列車とはいってもジェットの名に恥じず、200km/h対応車で揃えられていてすっ飛ばすので横Gが意外と大きいです。寝台に寝ている間は大丈夫ですが、走行中に廊下を歩くときは右に左にぶつかるのを覚悟しなければなりませんでした。
 総じて、夜発朝着の夜行列車の長所を最大限に生かしてまだまだ競争力を維持していこうという意思が感じられる、素晴らしい列車でした。今後もしぶとく生き残ってもらいたいものです。